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■最初のピクトグラム 「ピクトグラム」"pictogram, pictograph"*は「絵文字」「絵単語」などと言われます。 ピクトグラムは人類最初の絵として知られるフランスのラスコーやスペインのアルタミラに代表される洞窟壁画にその起源を辿ることもできます。もしかしたら、現代人の祖先であるホモ・サピエンスが言語の異なるネアンデルタール人と壁画を通じてコミュニケーションをとったかもしれません。このような絵は美術の起源であると同時に、異文化をつなぐコミュニケーション手段としても原型と言えるようです。
アルタミラの壁画 よく知られているように、こうした壁画や絵は象形文字*を生み出し、永い時間を経て単純化され表意文字に進化してきました。一方、文字に向かわず絵の原型として永い間人目に触れることのなかった壁画は、まるで現代において、コミュニケーションの道具=「ピクトグラム」として蘇えったようです。 ● ● ●
日本における家紋のように、 こうしたデザイン技法は様々な時代と場面で使われてきましたが、最初に具象として体系的に利用したのは、絵文字のパイオニアといわれるオットー・ノイラート*です。彼はウィーンの展示館の運営のために一般の市民にも分かりやすいアイソタイプ"ISOTYPE"と呼ばれる絵文字体系を作り出しました。
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*ピクトグラムデザイナーの詩:「ピクトグラム&アイコングラフィックス」(P・I・E BOOKS)より。 ピクトグラム&アイコングラフィックス 2 (2) *リュディ・リュエッグ氏: 1961〜1963
*Wikipedia: *象形文字:絵から成立したとみられる表意(語)文字の総称。エジプトのヒエログリフ、中国の甲骨文字など。
*オットー・ノイラート:1882-1945 オーストリアの哲学者。絵文字は彼の妻 Marie
Neurathが描いた。
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■案内用サインの歴史 日本でのピクトグラムの認知は1964年の東京オリンピックが最初となります。勝見 勝氏*をリーダーにしてオリンピック全体のデザイン計画がなされ、世界から高い評価を得ました。その成功はその後のオリンピックに「絵ことばの国際的リレー」として引き継がれていきます。
当時、全ての競技をシンボライズした斬新なピクトグラムに心魅かれた人は多かったのではないでしょうか。
![]() 1998年 長野オリンピック競技サイン また、個性的で斬新なデザインも多くなってきました。 その例として長野オリンピック(1998)の流線型の競技サインがあります。それらはグラフィックデザインとしては美しいかもしれませんが、残念ながら誰もが受け入れられる公平なUDサインとは言えません。 ● ● ●
ピクトグラムの長所のひとつは「主張しない」「訴えない」ことから生まれます。街角の広告や看板、企業のCIシンボルのようには目立たない、目立たせないことが重要です。本当に必要な時に自然と目に入ってくる。いわば黒子の役割を果たすのが優れたピクトグラムです。「可愛いさ」や「カッコよさ」を排除して、見た人の感情を動かさない情報的なデザイン(informative design)が求められます。 それは文字そのものが主張をしないことと同じことです。ピクトグラムも絵ですのである程度情緒に結びつくことからは逃れられませんが、制作の原点に「主張しない・させない」という点を置かなければなりませんし、基本となります。このことは繰り返して強調されるべき重要な点です。 街中で用を足したくなって我慢できないときに、それまで気にもとめなかった「男女」のサインが俄然として目に飛び込んできたという体験は誰にでもあるでしょう。 逆説的ですが、普段は見過ごすような、目立ったデザインでないからこそ、場に応じた機能を発揮するということです。 |
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*勝見 勝:1909-1983
*・・用ピクトグラム、他ピクトグラム:「ピクトグラムのはなし」
*・・用「便所」と張り紙がされた:「ピクトグラムのはなし」
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■ピクトグラムの構造とデザイン
誰でも知っているピクトグラムの代表のような「非常口」のサインです。このサインは、デパート火災の惨事が契機となって作られました。それまでの文字(漢字で「非常口」)での案内表示が不適切とされ、改善されました。公募デザインが元になっていますが、人の形、地と図の空間バランスなど、あらゆる点で教科書のようなピクトグラムと言えます*。 ![]() ピクトグラムの心理的な三次元構造* また、四角という形の地は背景、キャンバスとしてのみならず、形そのもが人工的であり、絵文字としての存在を規定し心理的に安定します。黒色はいわば闇(やみ)であって、その深淵から事物が概念として生まれるところと言えます。黒は何もないという意味で、逆に言えば何かが生まれる所として最適とも考えられます。 |
*・・と言えます:「図記号のはなし」
*ピクトグラムの心理的な三次元構造: |
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| ■サインとコミュニケーションのピクトグラム サイン、アイコンへの利用 絵の卵、原型であり空気のようでもあるピクトグラムは、上記のような特性ゆえにさまざまな利用の目的に適います。これまでは駅、空港など公共施設の案内用サインとして認知されてきましたが、これからはホームページやソフトウェアのアイコン*、機器・機械のマニュアル、各種イベントでの利用、UD(Universal Design)や情報デザインなどの分野への利用も広がっていくでしょう。 下記はオフィス制作のシンボルを使ったサイン、アイコン利用の例です。ギャラリーにはないピクトグラムです。詳しい説明とピクトグラムデータは「ピクトグラムの利用と普及を考える会」HPでご覧いただけます。リンクのあるものは無償ダウンロードも可能になっています。 ・下記の例はギャラリーにない新しいピクトグラムです。
■イベント等のサイン: 国際こども図書館(イベント展示利用例) 「読書の楽しみをすべての子どもたちに」 ■消防署内のサイン(施設内利用例)
![]() 仮眠室 無線室
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他、アイディア次第では色や加工技術を用いて、高い情報性を保ったままでのアイコン利用ができます。文字に頼らずに対象を示したい時に便利です。下のアイコンは当サイトのシンボルを元に作ったアイコンです。 Windowsのアイコン風に「クール」に (「時計」302016 「Tシャツ」303013 「救急車」401012) 加工をしてもギリギリ理解可能? (「家族」110003) コミュニケーションへの応用 そして、新しい次元へステップアップする時代がやってきました。これまでの単体での役割から、複数個を使ってのコミュニケ ーション・システムへの利用です。 ある意味それはピクトグラムが脇役から主役へシフトする時代とも言えます*。 サインとしての一方向のコミュニケーションから、双方向のコミュニケーションシステムへの進化です。ピクトグラムには言語を超えた全く新しいユニバーサルなコミュニケーション手段になる可能性があることを感じ取って頂ければ幸いです。 言語にハンディキャップのある人のコミュニケーション手段として、また外国でタクシーに乗って病院へ行きたいときに指し示す絵単語として、など、社会が成熟化して行く中でハンディキャップのある人々は社会参加を求めます。また、世界中で人の行き来とやり取りが増すにつれ、このようなコミュニケーション手段が求められる時代となってきます。
このような目的で、日本で最初に作られたピクトグラム(PIC*シンボル)の例です。 ![]() 日本版PICシンボル(1998)* (c)Hayashi Fumihiro
シンボル研究のための実験的な試みですが、ピクトグラムデザインをベースに発展させたアニメーションで手話(「聞く」)の動きを表現してみました。 ![]() |
*・・のアイコン
⇒オリジナル絵本の店ピクトゥス 国際こども図書館での利用例ホームページ ⇒読書の楽しみをすべてのこどもたちに 「日経レストラン」でのJIS絵記号紹介⇒バリアフリー化〜繁盛への道
*・・・とも言えます。: *日本版PICシンボル:高知県「生命(いのちの基金」助成金によって制作された。当オフィス代表の林による約600個のピクトグラム。
*語彙のデータベース:第38回日本特殊教育学会で発表「日本版PICシンボルの追加語彙選定に関する検討」
*動画:gifアニメーション100個が五大エンボディ鰍謔阡ュ売。制作は当オフィスによる。
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